いくつもある相場へのアプローチの仕方を分類すると、次の3つに大別できます。
第一はシナリオを立てるもの。ファンダメンタルズから理論値を出したり、材料を分析するのを相場に入る動機づけとするものです。なぜ買うのか、買われたかの説明に適しているので、マスメディアなどに出て解説する人たちは、すべてここに分類できます。
第二は過去の値動きを検証するもの。テクニカル分析です。どんなに複雑に思える価格の動きも、過去の値動きを検証していくとパターン化され、未来の予測も可能となるという考え方です。少し気取れば、「混沌のなかに秩序を模索する行為」とでもいいましょうか。
第三が値の付き方を見ることによって、相場の勢いや、方向を探るという方法です。これは頭で考えるのではなく、体で覚えた感覚を信じるというもので、最も現場的です。Given、Takenをよりどころとするものは、ここに分類されます。
念のために説明しておきます。債券や為替の市場では、常にマーケットメーカーが売りたい人、買いたい人に対してBidーAsk(Offer)の両値を建てています。売りたい人はBidをたたき、買いたい人はAskを取るのです。このBidがたたかれることを、Given(Sold)といい、Askが取られることを、Taken(Bought)といいます。相場では、売り買いが一対で取引成立なのですが、マーケットメーカーは受け身です。したがって、Given(Taken)が続くことは、能動的な売り手(買い手)が多いことを意味しています。
私の周りに、Givenが何回続いたら売り、Takenが何回続いたら買い戻す、という人がいました。何回かの回数はそのつど違うのでしょうが、これは非常に優れた相場へのアプローチだといえます。これに付け加えるならば、「Givenが何回か続いたら売り、何回以上続いても下がらねば倍返しをして買い戻す。あるいはTakenが何回か続いたら買い戻す」となります。株式市場では、板を見れば、Given、Takenがわかります。
相場の勢いや方向を探るのに、値の付き方をもってするのは、現場にいる人間がだれしも無意識に行っていることで、これによって「底堅い」とか、「やけに重い」などという感覚が生まれてくるのです。とくに、市場の内側にいるマーケットメーカーは、自分のこの感覚のみを頼りに値を建てているといっても過言ではありません。それができないディーラーは二流で終わるのです。
メディアを味方につけているためか、第一のやり方ーーシナリオを立てるものーーが主流のように思われている傾向がありますが、どこまでいっても仮説の積み重ねに過ぎず、一番頼りにならないのもこれです。第二のやり方は、より科学的で信頼に足る方法ではありますが、過信は禁物です。秩序らしきものが見えたとしても、もとは混沌だということを忘れてはなりません。第三のやり方は、食うための方法です。自我を持たず、相場の流れに身をまかせている状態で、もっとも実戦向きなのです。
多くのプロは、これらすべてのやり方を、総合的に使っています。
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