自分の意志で動いているつもりが、実は何かに操られている。自分はそうするつもりではないのに、いつのまにかそのように導かれている。皆さんは、そんな感じを持ったことがありませんか。「俺と女房の関係がまさにそれだ」と言う人がいるかもしれません。
有名な話としては、ハンバーガー・チェーンのマクドナルドと組んだ穀物商社カーギルの、他国の食文化を変えてまで牛肉の消費を伸ばし、牛の餌の穀物を売るという戦略です。人間に直接穀物を食べさせるより、牛経由で食べさせた方がはるかに多くの穀物を消費します。私たちは自分の意志や嗜好でハンバーガーを食べていると信じているのですが、米企業のテレビや映画、アニメ、CMなどを総動員した戦略に数10年間にわたって洗脳され、その気にさせられているというのです。そういわれてもなお、にわかには信じがたい話なのですが、彼らがたてた収益計画通りに、日本だけでなく他国でも売り上げが伸びているそうです。
どこかの遊園地で奇妙な建物に入ったことがあります。立っている面は水平なのに、両側の壁が傾いているために、まっすぐに立てないのです。片側の壁が頭にあたるのではありません。平衡感覚が狂わされてしまっているのです。また、抜けるような青空の下では気も晴れるのに、どんよりと曇った空を見ると、気持ちまで重くなるものです。空気中のイオンのせいだとすれば、イオンを調整することにより、私たちの気持ちも構造的に動かせるということでしょう。
メディアなどでも「誤報とお詫び」のなかに、ある真実が隠されているかも知れません。誤報に接した人が必ずしもお詫びにも接するわけでもなく、だいたいにおいて誤報の時は大騒ぎしておきながら、お詫びは片隅で小さくなのですから。
人の潜在意識に訴えるようなことは、広告、販売の専門家には常識なのでしょうが、人の嗜好などもある程度は構造的に動かせるようです。思考や行動も繰り返しある情報を与えることによって、一定方向に導けると言います。なんとも恐ろしい話ですが、その通りなのでしょう。
相場での市場心理というようなものも、巧妙に作られている可能性があります。
いつでも相場フレンドリーなエコノミストは論外ですが、当局発表の指標にしても、ただの横ばいの数字よりも、強い数字、下方修正、強い数字、下方修正の繰り返しの方が強く思えます。とくに、当初の強い数字で多くのエコノミストの賛同を得てしまえば、あとで下方修正したところで、エコノミストはそうそう前言を覆すことはしないものです。むしろ次の強い数字で、前言の確認をしてくれるのです。あるいは、ある時期に思い切り弱い数字でショックと危機感とを与え、その数字との前期比較で徐々に強い数字を出してゆきます。実際は横ばいでしかなくても、数字の上では着実な成長が見られるのです。
相場においては、ポジションによってものの見方、考え方、強気、弱気が変わってしまいます。ロングポジションで相場が上昇すれば利益を得ます。反対に下落すれば損失を被ります。外から客観的に相場を見ていたときとは違うものが見えてくるのです。相場に強気なマーケットメーカーでも、毎日売りを浴びされて、必要以上にロングを持たされると不安になってくるものです。日計りディーラーが朝一番にロングポジションを持つと、相場環境は変わらずレートが動いていなくても、時間の経過とともに彼の強気は薄れてきます。彼はその日のうちにポジションを閉じねばならないからです。
私たちは、多かれ少なかれ何かに構造的に動かされています。相場では、ポジションの偏りが、私たちに制約をかけているのです。
☆実践・生き残りのディーリング
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