◆◆読者の声◆◆
先生の新刊「相場力アップドリル」を購入し、じっくり読ませていただきました。毎回のことながら、本の内容のすばらしさに敬服しています。今回は、為替編ですが、「材料・ニュース」に対するアプローチの仕方という点で斬新な発想だと思いますし、先生の相場経験を踏まえたプロの材料の捉え方、反応の仕方というものも述べられており、非常に意義深いと思います。
何気なく材料に反応していますが、今在籍している証券会社に限らず、世間一般の地場証券の株式ディーラーは材料に対して目先のことしか反応できていません。かくいう自分もそうですが、ニュースやソース発表後の数分で勝負が決まるスピード勝負ばかりしています。自分もイチ投機筋ですので、ポジションの保有期間等の問題で、致し方ないことなのですが、材料に適切に反応し、きっちりと相場観を組み立てて、マーケットのブレに対して「押し目」できっちり勝負できるディーラーになりたいと思います。今後とも、著作を傍らに頑張りたいと思います。(証券会社株式ディーラーO氏)
・矢口新の相場力アップドリル【為替編】ー
まえがき
インターネットの普及により、個人投資家が営業マンのアドバイスなしで相場に取り組む機会が増えてきました。本書で取り上げる「外為市場」でも個人の方々が積極的に売買を行っています。
まだインターネットでの売買に親しまれていない方々が、営業マンのアドバイスなしでの取引だと聞くと、何を拠りどころに売買していいのか不安に思うかも知れません。しかし、実はその方が安全に売買できるのです。なぜなら相場を知っている営業マンなどほとんどいないからです。営業マンだけではありません。プロのディーラーやエコノミスト、評論家といわれる人たちでも、相場を知っている人はほんの一握りです。たとえば、読者の中にプロの方がいたとして、次の質問に答えられますか?
「日本の貿易黒字が円高要因なのは周知の事実だと思います。では仮に、日本が貿易黒字であると同時にアメリカも貿易黒字の場合、ドル円相場では円高要因ですか? それともドル高要因ですか? 日本の貿易が対米赤字でも、対アジア貿易が黒字なら、あるいはアメリカの貿易が対日赤字でも、対アメリカ大陸諸国との貿易が黒字なら、まったく実現性のない仮定ではないと思います」(答えをすぐにでも知りたい方は、本書後半【ドリル編】の問27、問28の解答と解説をご覧ください)
こういったことを考えてもみなかった一般の方々は多いことと思います。しかし、人様に相場を解説するプロがそうであっては困ります。じつは、この質問に答えられるかどうかで、その人の相場に関する基礎的な理解が分かるのです。加えて、そういった条件下でのトレードのアイデアを持っていてはじめて、その人は人前で相場を語る資格があるといえます。この質問は、実需と仮需といった市場での価格変動のキーポイントとなる要因を含んでいるからです。
私は、1990年に東洋経済新報社から出版した「生き残りのディーリング」の旧版以来、他の3冊のすべてでも「価格変動の本質」について解説しています。しかし、これらの本には他のことも多く詰め込みすぎたせいか、肝心要の「価格変動の本質」を本当に理解してくれている読者は少ないのです。これが分からないと結局は相場の上っ面を撫でるだけに終わるでしょう。もっとも、儲けることだけにこだわるならば、何も知らなくても儲けることは可能です。価格の動きに逆らわねばいいのです。また、運さえよければ何事もうまくゆくものです。
本書は相場を動かす2つの要因、実需と仮需について徹底的に解説しています。ひとことで述べるなら、実需がトレンドをつくり、仮需がボラティリティ(価格の振幅)をつくります。しかし、実際の売買でどれが実需か仮需かの区別をすることは難しいので、相場を動かす材料から「実需を表す材料、仮需だけの材料」と分類して解説しています。たとえば仮需だけの材料ですと、相場は「いってこい」となり、価格の振幅(ボラティリティ)だけがあってトレンドにはなりません。これが分かれば、トレードのアイデアが湧くというものです。
前半の【説明編】で価格変動の本質を理解していただいたら、後半の【ドリル編】で問題集にあたっていただきます。問題は答えを見ずにまず自分で解いていただくために、解答と解説は次ページに載せるようにしました。これらはモデル問題と解答ですので、一通り解き終わりましたなら、今度は新聞やテレビで解説される「相場を動かす材料」から自分の相場観とトレードアイデアを組み立ててみてください。そして納得がいかないところがあれば、もう一度本書の【説明編】を読み返すか、あるいは【ドリル編】にて似たような材料を再確認してください。この作業の繰り返しであなたの相場力は確実にアップします。相場力がアップすると、自分に合った「相場つき」の時の儲けを大きくできるだけでなく、自分に合わない「相場つき」の時でも、なんとか凌げるようになるのです。
相場でリスクを取るのは自分なのですから、自分で相場を判断する力をつけてください。あらかじめお断りしておきますが、本シリーズは材料から相場観を組み立て、トレードにつなげるツールです。相場に踏み込んだ後の心構えや考え方、リスク管理などに関しては、拙著「生き残りのディーリング・決定版」(パンローリング刊:http://www.geocities.com/dealers_web/bookshop )をご参照ください。ご健闘をお祈りします。
目次
まえがき
■外為市場の材料:その影響力の分析と対応パターン「説明編」
外為市場を動かす材料
相場はどうして動くのか
ポジションの保有期間と価格の関係
トレンドラインとポジションの保有期間
■外為市場の材料:その影響力の分析と対応パターン「ドリル編」
■相場力アップ問題集
問1・イスラエル軍がシリアに侵攻した。
問2・G8でドル高容認発言がでた。
問3・与党が選挙で大敗し、首相が引責辞任をした。
問4・テロとの戦争が泥沼化し、米大統領選挙で現役大統領が敗退した。
問5・日本のGDPが予想以上の強さを見せた。
問6・米国の雇用統計が改善した。
問7・デフレ傾向の後、消費者物価指数が10年来の伸びを見せた。
問8・原油価格が高騰した。
問9・金価格が高騰した。
問10・前日のアメリカ株が暴落した。
問11・米財政赤字が拡大した。
問12・日本国債の格付けが引き下げられた。
問13・日本株が底値を打った。
問14・某国の通貨が暴落し、4分の1の価値になった。
問15・ユーロが解体した。
問16・中国が人民元を切り上げた。
問17・アメリカが為替の取引を制限した。
問18・日本が為替の取引を制限した。
問19・アメリカの連銀議長が金利上げを示唆した。
問20・フェドファンド(FFレート)が引き上げられた。
問21・銀行間のオーバーナイト貸出金利が引き上げられた。
問22 USトレジャリー10年債が暴落した。
問23・日米金利差が拡大した。
問24・日本のマネーサプライが急増した。
問25・1カ月に10兆円の円売りドル買い介入を行った。
問26・外貨準備高が急増している。
問27・ある年の日本の貿易黒字は12兆円の黒字であった。
問28・アメリカの貿易赤字が拡大した。
問29・日本の旅行収支の赤字が過去最高を更新した。
問30・日本の経常黒字が拡大した。
問31・日本のコンピューターメーカーがインドに大きな工場をつくった。
問32・自動車メーカーの海外工場が収益を日本に送金した。
問33・外人が日本株投資を拡大している。
問34・ヘッジファンドがドル売り円買いポジションを膨らませている。
問35・ディーラーのポジションがドルショートに偏っている。
問36・ドル円の前の安値のすぐ下にオプションの行使価格があると聞いた。
問37・シカゴのポジションが円ロングに偏っている。
あとがき
用語集
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