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・矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson1


・ドリルをはじめる前に


このドリルは、価格変動の本質を知り、その対処の仕方を知ることで、相場で起こり得る様々な状況に対応できるトレードセンスの養成をはかるものです。

相場の動きに振り回されないためには、ぶれない軸となるものが必要です。まずは、なぜ相場が動くのかを知り、どのように対処するのが最も効率的かを知るために、「価格変動の本質」「投機と投資(意欲と事情)」「プライスアクション理論」に一通り目を通して下さい。私はこの3つを合わせて「タペストリー・プライスアクション(TPA)理論」と名付け、この理論に基づいた運用を2007年12月から開始しています。

次に、個々のケースを3択問題のドリルとして提供していますので、正解だと思われるものを選び、その解説に目を通してください。

このドリルは実際の運用とはまったく別物ですが、価格変動の本質を利用した最も効率的な運用理論だと思われる「TPA理論」を、ケースバイケースで理解するには非常に役立つものです。

相場では、常に売り手に対して買い手がいるように、様々な考え方、事情を持った人たちが参加しています。したがって、相場への取組方も様々で、「TPA理論」だけが正しい運用方法というわけではありません。とはいえ、個人投資家の方々が、ぶれない軸とできるしっかりとした理論に巡り会える機会がそれほど多いとも思えません。

皆さんの目で判断して下さい。そして「TPA理論」が皆さんのぶれない軸になり得ると思われたら、その軸をもとに、自分なりの修正を加えてください。相場は自分で判断するものです。無批判の適用では、どこかで落とし穴にはまります。また、軸にはなり得ないと結論づける方々にも、相場をより深く理解するきっかけにはなるかと思っています。

ドリルに用いた問題は、インターネットの本屋さん「マネーのまぐまぐ」に1年以上にわたって掲載されたものです。この連載は継続中で、新しい問題が毎週でますので、本書を読まれた方々も、ぜひ閲覧、購読してください。こちらは無料です。(http://money.mag2.com/invest/tradesense/)

このドリルの刊行にあたっては、パンローリング株式会社の後藤康徳、磯崎公亜の両氏、株式会社まぐまぐの浅尾直樹、北本治、吉田正憲の各氏に多大なる協力を仰ぎました。各氏をはじめ、本ドリルの刊行を可能にしてくださった方々に、この場を借りてお礼申し上げます。


2008年正月   矢口 新


目次

まえがき


・価格変動の本質
・投機と投資(意欲と事情)
・プライスアクション理論


・トレードセンス養成ドリル問題目次(全35問)

●ニュースに関する問題 1
円金利のもう一段の利上げが、年内にもあると言われています。これにより最も株価が下がると予想される業種はどれでしょう?

1)電力
2)銀行
3)小売

●ニュースに関する問題 2
原油の価格が年初来最高値を更新しました。こうした原油価格の高騰が株価の上昇要因になる可能性が最も高いのはどの業界でしょう?

1)航空業
2)鉄鋼業
3)総合商社

●ニュースに関する問題 3
欧州中央銀行(ECB)が、ユーロ圏の経済成長率を上方修正しました。このことが株価上昇の要因となりうるのは?

1)欧州向けに輸出している日本企業
2)欧州から商品を輸入している日本企業
3)内需関連の日本企業

●ニュースに関する問題 4
日本の貿易黒字は円高要因で、アメリカ(欧州連合)の貿易赤字は米ドル安(ユーロ安)要因であることは、よく知られたところです。ところが、IMFの試算では少子高齢化により、2020年頃には日本も貿易赤字になると言われています。日米(日欧)の貿易赤字が双方とも赤字になった場合にはどうなるのでしょう?

1)アメリカ(欧州)の貿易額が大きいので、ドル(ユーロ)安円高要因
2)日本の貿易赤字は円安要因なので、ドル(ユーロ)高円安要因
3)貿易収支がらみは外為取引全体の1%もないので、為替レートとは無関係

●ニュースに関する問題 5
アメリカの住宅着工の数値が、予想よりも低く138万戸(年率換算)と発表されました。アメリカ株は「住宅バブル崩壊」(=景気後退)かと売り込まれましたが、金融引き締め終了期待が起こり下げ止まり、引けにかけて持ち直しました。ドル円はどう動くと予想しますか?

1)ドル安円高に向かう
2)いったんドルが売られるものの、株とともに持ち直す
3)いったんドルが買われるものの、最終的には売られてしまう

●ニュースに関する問題 6
あなたは、個人投資家からの評判がよくない銘柄を空売りしていました。その会社は必要以上に新株を発行したり、経営者が夢見がちな理想論を語るとして知られています。今回その会社が日経平均株価の構成銘柄に採用されることになりました。空売りのポジションはどうすればいいでしょうか?

1)日経平均に採用されたので、ドテンで買いのポジションを取る
2)胡散臭さは変わらないので、空売りをしたままにする
3)とりあえず手仕舞って様子を見る

●ニュースに関する問題 7
株を保有中の会社が決算発表を延期することになりました。良くも悪くも驚きの決算発表である可能性があります。現在、多少の含み益(10%前後)があります。保有中の株はどのようにすればいいでしょうか?

1)リスク回避のために全部売る
2)半分は売り、もう半分は保有したままにする
3)保有したままにする


●投資心理に関する問題 1
中国株やインド株など新興国の株式市場に個人投資家のマネーが多く入っているようです。また、FXの信用取引でも個人投資家が活発に円売り、高金利通貨買いのポジションを取り、それなりに利益を出しているようです。一方、著名アナリストなどプロの中には、新興国市場はバブルだという意見や、為替は円安に振れすぎという意見が多く見られます。あなたがこれらの市場でポジションを取る場合、どちらの意見を参考にすればいいでしょうか?

1)自分と同じ立場で運用している個人投資家
2)裏情報を沢山持っていそうな著名アナリスト
3)素人やプロの相場観は関係なく現在の価格が最も正しい

●投資心理に関する問題 2
テレビを見ていると、ある個人投資家が100万円を3年で1億円にしたというニュースがありました。海外でもこのようなケースはあるようです。個人投資家は、1年でどれくらいのリターンがあればいいのでしょうか?

1)最低でも元金の2倍は目指したい
2)書籍代や相場に費やす時間を考えると、3割のリターンは欲しい
3)ほとんどの人が損をする世界なので、損をしなければ良い

●投資心理に関する問題 3
最近あなたは、為替取引をはじめました。まだ慣れていないので、ファンドが行っているキャリートレード(金利の安い通貨を借り、金利の高い通貨で運用する手法)をはじめとするプロの手法を試してみようと思います。ビギナーがファンドの手法や戦略を真似ていいものでしょうか?

1)下手なうちはプロを真似るのがよい
2)何事も最初が大事。損をしてでも自分の手法を確立する
3)ファンドの真似をしている人が多いので逆のポジションを取る

●投資心理に関する問題 4
老後のことを考え資産を殖やそうと思い、株式投資をはじめました。ところが購入した銘柄が3割近くも値下がりし、心理的に大変です。誰に相談すれば良いでしょうか?

1)信頼できる証券会社の営業マン
2)一番自分のことを分かっていて、株式投資にも詳しい身近な人
3)自分のお金なので、自分一人で解決する

●投資心理に関する問題 5
日計り(デイトレ)取引が中心で、ちょうど利がのっている中、ひどい二日酔いになってしまいました。その日の取引はどうすべきでしょう?

1)トレーディングはベストのコンディションで行うべきもの。短期のポジションはすべて閉じて、モニターを消し、その日は「休むも相場」と決め込む
2)休むも相場とは「相場が決めてくれる」こと。いつも通りに取引する
3)相場は継続性が命。取引はしないが、何があるか分からないのでモニターの前には座る

●投資心理に関する問題 6
損切りが続き、気がつけば総資金の15%を1カ月で失ってしまいました。買った株は下がり、売った株は上がりと散々な状態であなたは自信を無くしています。どのようにすればいいでしょうか?

1)悪いことの後は良いことがあるので、大きいポジションを取る
2)調子が悪いので、小さめのポジションを取る
3)相場のことはしばらく忘れて、同僚と飲みにでも行く

●投資心理に関する問題 7
中長期保有を前提に株を購入したあなた。ザラ場はどの程度の頻度で見るべき?

1)可能な限りいつも
2)時々
3)全く見ない


●個別銘柄に関する問題 1
あなたはデイトレードを始めようとしています。その際、最も避けるべきな銘柄はどれでしょう?

1)場中に決算の下方修正を発表された銘柄
2)安定株主が主で、売買高が少ない銘柄
3)信用取引残高が多い銘柄

●個別銘柄に関する問題 2
次の外国人持ち株比率が高いA、B、Cの3社のうちで、最も長期保有に向いているのはどれでしょう。

1)海外の運用会社を経由し、日本人が買っている比率が高いA社
2)海外の年金基金の比率が高いB社
3)海外のヘッジファンドの比率が高いC社

●個別銘柄に関する問題 3
アメリカに出張しているあなたはホテルでテレビを見ていました。ニュースを見ると、人口増加や原油に代わるエタノールの影響で農業や食品関係の会社の業績が好調という報道をしています。日本で似たような業種を調べるとまだ値上がりしてません。将来を見込んで投資をするべきでしょうか?

1)一般の日本人が知らないうちに、似たような業種に投資をする
2)いつ上がるか分からないので、投資は避ける
3)すでに値上がりしているアメリカの会社の株を買う

●個別銘柄に関する問題 4
今後、金利が上がり、苦戦すると言われる消費者金融業界ですが、四季報を見ると外国人持株比率が増加している会社が目立ちます。この情報で利益を出そうとする場合、どのような方法がいいのでしょうか?

1)情報はあてにならないので、チャートでトレードをする
2)金利が上がると知らない外国人が買っているのでカラ売りをする
3)日本人より外国人の相場感があてになることが多いので買ってみる

●個別銘柄に関する問題 5
四季報の主要株主の欄を読んでいると、社長や役員などその会社の経営陣の持ち株数が増えていました。今後、この会社の株価が上がることを期待していいのでしょうか?

1)経営陣が買っているのであれば株価が上がることを期待していい
2)少し上がると経営陣が売る可能性もあるのでしばらく上がることはない
3)主要株主の変化と株価の動きに相関性はない

●個別銘柄に関する問題 6
あなたが保有する株式の株価が、年初来高値やチャートポイントの抵抗線など、いわゆる目標株価と目されるところに届きました。そのときとるべき行動としてもっとも適切なものはどれでしょう。

1)すぐに売って早めに利益を確定させる
2)まだまだ上がると見越して買い増す
3)様子見のため保有し続ける

●個別銘柄に関する問題 7
ある日、新聞を読むと自分の持ち株が上場来の最高値をつけたというニュースを読みました。含み益は3割ほどで、出来高を見ると落ち着いていて、投機的な上げではなさそうです。どのようにするのがいいでしょうか?

1)そのまま保持
2)一旦利確する
3)買い増しをする


●資金管理に関する問題 1
もしあなたが株式投資でのリスクを限定したいのであれば、損切りの基準を何%程度に設定するのが適当ですか?

1)10%以内
2)25%以内
3)場合によっては30%以上、50%以内

●資金管理に関する問題 2
あなたが中長期的な資産作りを目指しているとします。もっとも適切なポートフォリオの組み方は以下のどれでしょう?

1)リスク管理しやすいので、1銘柄に絞込み保有する
2)いくつかの投資物件に分散させる
3)国内外の株式、債券、不動産などできるだけ多く分散させる

●資金管理に関する問題 3
あなたが保有する銘柄に、買い材料が出たにもかかわらず株価は上昇せず、かなり値下がりしてしまいました。この場合、どうするべきでしょう。

1)値上がりを期待して買い増す
2)損が広がらないよう早めに売る
3)保有し続ける

●資金管理に関する問題 4
外国為替の信用取引でドル売り円買いのポジションを持ちました。午後5時頃になって、これといった理由も見当たらないのに、急速に円安が進みました。あなたがとるべき、もっとも適切な対応は?

1)すぐに損切る
2)円のサポートラインまでは辛抱する
3)円安の理由が判明するまでは動かない

●資金管理に関する問題 5
株式の無期限信用取引で購入した銘柄が下落し、証券会社から追加証拠金(追証)の入金を迫られました。その場合に、最も適切な対処の方法は?

1)急落後には反発することが多いので、追証に応じる
2)無期限で保有できるメリットを活かし様子見する
3)追証は避け、その銘柄を売却する

●資金管理に関する問題 6
インフレ懸念が台頭し、金利の引き上げが確実となりました。あなたは、金利敏感株といわれる電力会社の株式を保有しています。いま売れば、そこそこの利益が出るのですが、利上げにどう対応すればいいでしょう?

1)利食い売りする
2)業績が悪くないので、そのまま保有する
3)下げ始めてから売る

●資金管理に関する問題 7
投資目的で買った海運株が、ここ数日投機的な値上がりをしています。日によっては1日で10%〜20%程の値上がりもありました。1ヶ月で50%程の含み益があり、あなたは利確したくて仕方がありません。持ち株はどのようにすればいいでしょうか?

1)投資目的で買ったので、最低でも2〜3年は保有する
2)値動きが荒くなり、投資には適さない株になったので売却する
3)利確を我慢し、トレンドに乗って買い増しをする


●その他の問題 1
利上げ観測のもと、円が上げ足を速めたので、日銀が100億ドル規模の円売りドル買いの市場介入を行ないました。あなたがドル円の新規のポジションを取るとして、どのようなポジションが適切でしょうか?

1)マーケットの動きに順張りし、円買いドル売りのポジションを取る
2)日銀の為替介入に順張りし、円売りドル買いのポジションを取る
3)為替市場の動きを見極めるため、様子見する

●その他の問題 2
会社の同僚に相場で儲けていると評判の人がいます。その人と偶然同席したとき、儲け話を聞かされました。どのように聞くのがいいでしょうか?

1)儲かった銘柄や情報の出所を聞く
2)初心者の頃の苦労話や失敗談を聞く
3)他人の儲け話は参考にならないので聞き流す

●その他の問題 3
テクニカル指標を勉強し、トレードの経験を積んだあなたは、チャートの読み方がわかるようになりました。チャートで売買を行う際、最も有効な市場はどれでしょうか?

1)流動性に最も富んだ為替市場
2)個人投資家が多い株式市場
3)ファンドの影響力がある先物市場

●その他の問題 4
松坂大輔を獲得したレッドソックスのオーナーのジョン・ヘンリーは、トレンドフォローで財産を築いたと言われています。トレンドフォローはある一定期間の高値、安値を上抜け、下抜けした時、その方向にポジションを取る手法ですが、現在でもその手法は使えるのでしょうか?

1)投資家が増えた結果、トレンドが出やすいのでかなり使える手法である
2)損切りができれば、現在でも利益は上げられる
3)買えば高値掴み、売れば踏み上げとなることが多いので使えない

●その他の問題 5
相場の世界で結果を残している人の中には、チェスやコントラクトブリッジなどテーブルゲームが好きな人も多いという話をあなたは聞きました。調べてみると、ウォーレン・バフェット、ジェシー・リバモアはコントラクトブリッジが得意で、ジョージ・ソロス、ビクター・ニーダーホッファーはチェス好きだそうです。このようなテーブルゲームは相場に役立つものでしょうか?

1)テーブルゲームより、現金を使うパチンコや競馬の方が相場に役立つ
2)テーブルゲームと相場で勝つ手は、共通する点があるので学ぶのも良い
3)新しい遊びを覚えるくらいなら、相場に集中した方が良い

●その他の問題 6
これまで相場がうまくなかった知人が、システムトレードで利益が出せるようになったと言っています。システムトレードというのは市販や、自分で作ったエクセルのプログラムで過去の値動きを検証し、最適な売買を行う方法だそうです。あなたは今のところ大きな損失もなく、相場の世界で生き残れています。自分もシステムトレードを使うべきでしょうか?

1)システムは人間の弱さを克服できるので、自分もシステムトレードを使う
2)システムトレードは柔軟性がないので役に立たない
3)システムトレードを勉強し、参考にはするが、頼らない

●その他の問題 7
年初5日間が高ければ1月は高い。1月が高ければその年は高いという相場のジンクスがあります。1月の大発会から5営業日ほど、市場は力強い動きを見せました。あなたはこの年の動きをどう読みますか?

1)相場のジンクス通り、強気な相場になる
2)みんな知っているジンクスは逆にいくことが多いので、弱気相場になる
3)相場のことは相場に聞くしかないので、わからない




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