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・矢口新の相場力アップドリル【株式編】


まえがき

インターネットの普及により、個人投資家が営業マンのアドバイスなしで相場に取り組む機会が増えてきました。本書で取り上げる「日本株市場」では個人の方々のネット取引が相場の一大勢力となってきています。
インターネットでの売買に親しまれていない方々は、「営業マンのアドバイスなしでの取引」と聞くと、何を拠りどころに売買していいのかわからないと、不安に思うかもしれません。
しかし、誰にも何事にもはじめはあります。当初はおっかなびっくりで始めたであろうネットの株式投資家の"相場力のつけかた"には目をみはるものがあります。私の知る限りでも、ネットでの取引をはじめてから2?3年で、証券会社に何十年も勤めてきた営業マンの実力を超えたという人は何人もいます。やはり自分の資金をつかって自分の判断で売買を行わないと本当の力はつかないのでしょう。
もうすでに相当の相場力をつけられている方、遅れをとってしまった証券会社の営業マン、これからの2?3年で先行者に追いつき追い越そうとしている方への私からの贈り物がこのドリルです。

相場ではどうして価格が動くのか。その仕組みを明確に理解するうえで、もっとも大事なことが「相場は実需と仮需とで動いていることを徹底的に理解する」ことです。この2つはときには対立し、時には同調して、お互いが複雑に織り合わさって市場価格を形成しています。「誰が買っても相場が上がれば同じではないか」と考える人もいるでしょうが、実需には量的な制限が、仮需には時間的な制限がありますので、市場に与える影響が自ずと違ってくるのです。例えば、一時的には手がつけられない「根拠なき熱狂」は仮需によって作られます。これは時間によってのみ解決されます。本書でこれらを徹底的に理解できたならば、自分で材料を判断し、相場観を組み立てて売買につなげることができるようになると思います。

私は、1990年に東洋経済新報社から出版した「生き残りのディーリング」の旧版以来、本シリーズに先立つ4冊のすべてで「価格変動の本質」について解説しています。しかし、これらの本にはほかのことも多く詰め込みすぎたせいか、肝心要の「価格変動の本質」を本当に理解してくれている読者は少ないのです。これがわからないと結局は相場の上っ面を撫でるだけに終わるでしょう。

本「相場力アップドリル」シリーズは相場を動かす2つの要因、実需と仮需について徹底的に解説しています。ひとことで述べるなら、「時間的に優位な実需がトレンドをつくり、量的に優位な仮需がボラティリティ(価格の振幅)をつくる」と説明しています。しかし、実際の売買でどれが実需か仮需かの区別をすることは難しいので、相場を動かすさまざまな材料を取り上げて、「実需を表す材料、仮需だけの材料」に分類して解説しています。例えば、仮需だけの材料ですと相場は「いってこい」となり、価格の振幅(ボラティリティ)だけがあってトレンドにはなりません。こういうことがわかれば、トレードのアイデアが湧くというものです。

前半の【説明編】で価格変動の本質を理解していただいたら、後半の【ドリル編】で問題集にあたっていただきます。答えを見ずにまず自分で解いていただこうと、解答と解説は次ページに載せるようにしました。本書の【ドリル編】の問題は、先行して出版された「相場力アップドリル(為替編)」での解答と比較しやすいように同じ問題で通せるところは極力対応して同じ問題番号にしました。為替は2国間以上での通貨の交換取引、株式は基本的に国内の民間企業の事柄ですから、それぞれに特有の材料があります。共通の材料と特有の材料、それらの解答を比較するだけでも為替と株式の違いを実感できることと思います。違いが分かるということは、それぞれのものがより深く分かるということです。政治や経済、他市場の動向といった個々の材料の持つ意味が分かると、日々のニュースのおかしな点にも気づくようになります。また自分で相場を分析するときの手掛かりにもなるでしょう。相場観も良くなります。

これらはモデル問題と解答ですので、解き終わりましたなら、今度は新聞やテレビで解説される「相場を動かす材料」から自分の相場観とトレードアイデアを組み立ててみてください。そして納得がいかないところがあれば、もう一度本書の【説明編】を読み返すか、あるいは【ドリル編】にて似たような材料を再確認してください。この作業の繰り返しであなたの相場力は確実にアップします。相場力がアップすると、自分に合った「相場つき」のときの儲けを大きくできるだけでなく、自分に合わない「相場つき」のときでも、なんとか凌げるようになるのです。

相場でリスクを取るのは自分なのですから、自分で相場を判断する力をつけてください。あらかじめお断りしておきますが、本シリーズは材料から相場観を組み立て、トレードにつなげるツールです。相場に踏み込んだ後の心構えや考え方、リスク管理などに関しては、拙著「生き残りのディーリング・決定版」(パンローリング刊:http://www.geocities.com/dealers_web/bookshop )をご参照ください。ご健闘をお祈りします。


目次

まえがき


株式市場の材料:その影響力の分析と対応パターン「説明編」


株式市場を動かす材料
相場は何故動くのか
実需がトレンドをつくり、仮需がボラティリティを与える
株式市場の実需
日本株の上昇トレンドの条件
経営者優先から株主優先へ
日本株の買い手
材料分析の意味


株式市場の材料:その影響力の分析と対応パターン「ドリル編」

相場力アップ問題集
問 1・某国軍が隣国に侵攻した。
問 2・G8でドル高容認発言がでた。
問 3・与党が選挙で大敗し、首相が引責辞任をした。
問 4・米大統領選挙で現役大統領が敗退した。
問 5・日本のGDPが予想以上の強さを見せた。
問 6・米国の雇用統計が改善した。
問 7・消費者物価指数が10年来の伸びを見せた。
問 8・原油価格が高騰した。
問 9・ドル円が急騰した。
問10・前日のアメリカ株が暴落した。
問11・米財政赤字が拡大した。
問12・日本国債の格付けが引き下げられた。
問13・消費税の引き上げが発表された。
問14・A社が下期に1000億―3000億円の普通社債を発行する計画を発表した。
問15・ユーロが解体した。
問16・中国が元を切り上げた。
問17・東証が空売り規制を導入した。
問18・源泉徴収税率が引き上げられた。
問19・アメリカの連銀議長が金利の方向転換(上げ)を示唆した。
問20・日本の公定歩合が引き上げられた。
問21・長期国債が急落した。
問22・USトレジャリー10年債が暴落した。
問23・PKOが入った。
問24・日本のマネーサプライが急増した。
問25・政府が公共投資枠を大幅に拡大した。
問26・大型の株式ファンドが設定された。
問27・ある年の日本の貿易黒字は12兆円の黒字であった。
問28・アメリカの貿易赤字が拡大した。
問29・半期の株式売買高が史上最高を更新した。
問30・一目均衡表チャートで日経平均がクモを上抜けした。
問31・日本のコンピューターメーカーがインドに大きな工場をつくった。
問32・NTレシオが10.00を下回ってきた。
問33・アメリカのミューチュアルファンドが日本株の比率を引き上げた。
問34・ヘッジファンドが原油買い日本株売りのポジションを膨らませている。
問35・日経平均株価先物が理論価格にくらべて大幅に割安となっている。
問36・首都圏に地震があり、24時間以上の停電が起きた。
問37・A社が第三者割当増資(普通株式・優先株式)を行った。
問38・A社に対する産業再生機構の支援が決定した。
問39・初値の負けなし記録(初値が公募価格を上回る)が151社で途絶えた。
問40・A社が日経225に採用された。
問41・A社が東証1部から東証2部へ指定換えになった。
問42・A社の組織的な不良品販売が発覚した。
問43・アナリストがA社の業績見通しを引き上げた。
問44・A社が好決算を発表した。
問45・A社が新商品を発表した。
問46・ここ数日A社の株が、出来高をともなって急上昇している。
問47・A社の株価が年初来高値を更新した。
問48・A社の社長が自社の株価は高すぎると表明した。
問49・A社が自社株買いを発表した。
問50・日証金がA社株の貸借取引の申込停止措置を解除した。
問51・A社が巨額債務の株式化を発表した。
問52・A社の株にVWAPの買いが入っている。
問53・ウェブページを見ていると、寄付前外国証券注文状況で大幅な売り越しとあった。
問54・大手証券がA社の目標株価を引き上げた。

巻末説明
あとがき
用語集




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