マンガ・生き残りの
株入門の入門
あなたは投資家? 投機家?
あとがき
私は勝ち負けを日々の糧としているスポーツ選手に教えられることがよくあります。女子マラソンの高橋尚子選手のように目的に向かって理詰めに精進を重ね、切るものは切り、それを結果に結びつける精神力には、ただひたすら感服します。アテネ・オリンピックの選考レースであった東京マラソンでの敗北(とはいえ2位ですが)の無念を、2年かけて同じ相手からはらす執念も勝負師として見習いたく思っています。
また、阪神ファンならずとも野球ファンなら金本選手を知らない人はいないでしょう。阪神タイガーズには金本選手を含め、今年38歳になるベテラン・トリオがいます。この年齢は野球選手では既に引退している人もいる齢なのですが、金本知憲、矢野輝弘、下柳剛のベテラン3選手は昨年そろって自己の持つ記録を更新したのです。下柳投手は勝ち星を、矢野捕手はホームランを、金本外野手にいたっては打率、打点、ホームランの3部門のすべてを更新しました。なかでも金本選手のすごいのは2年連続で3部門の自己記録を更新したことです。加えて、この4月にも世界記録を更新しようかというフル・イニング出場を続けながらの更新です。これは私などをも大いに刺激してくれました。肉体が衰えてきているはずのスポーツ選手ですら自己記録が更新できるのなら、私たちも相場での収益記録をこれから毎年更新し続けることも可能なはずです。
金本選手は古今東西でもっとも出続けている野球選手なのですから、体調などのリスク管理がうまくできているのだと思います。それでいて自己の成績を2年連続で更新できるのですから、肉体の構造にかなった動きをしているのだといえます。私もスカッシュというスポーツを続けていますが、スカッシュが下手な人は正しいやり方を知らないか、正しいやり方は知っているのだがまだ未熟かのどちらかなのです。私はまだ未熟ですが、正しいやり方を知っているので日々進歩しています。そんな私でも正しいやり方を見つけるまでは、10年近くの間進歩が止まっていました(体力の衰えとともに下手になっていました)。金本選手は正しい野球のやり方を知り、それを実践できているのでしょう。これは他の選手にも影響します。阪神選手のレベルがアップしているとすれば、貢献度ナンバー1は金本選手ではないかと思います。
相場にも正しいやり方があるのです。そのやり方は1つではないでしょうが、相場での価格変動の仕組みや、投資、投機といった資金の性質を理解すれば、何が合理的で安定した収益につながる運用なのかは自ずから明らかになってきます。いろんな書物を読み、実際にトレードし、よく考え、自分なりの理想像をつくりあげたなら、あとはその理想に近付く努力をするだけです。想定以上の損をするのは自分がまだまだ未熟なだけ。正しいやり方をしていたなら、経験はそのまま実力(私は相場力と呼んでいます)アップに結びつきます。毎年自己記録を更新することも夢ではないのです。
本書には私がこれまで書いてきた本のエッセンスが詰まっています。入門の入門というのは、「イロハ」レベルという訳ではなく、当初から本質を知るべきだという意味です。これまで難解だとの指摘が多かったものに、てらおかみちおさんが魅力的な絵をつけてくれました。おかげさまで大変分かり易いものに仕上がったと思います。皆さんの資金運用の手助けになれると確信します。お互い理想像に向かって研鑽しましょう。
2006年2月 矢口 新
CONTENTS
Chapter1:構造的な要因と投機的な要因
Chapter2:相場を動かす構造的な要因
Chapter3:投資と投機
Chapter4:あなたは投資家? 投機家?
Chapter5:投資と投機とでは対応が違う
あとがき
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